貿易事務のプロが教える「信用状から見えてくる各国のユニークさ」

いくつか信用状の文言を挙げ、説明致します。

◆A国：BENEFICIARY MUST CERTIFY ON THE INVOICE TO THE EFFECT THAT THEY HAVE SHIPPED THE GOODS IN ACCORDANCE WITH THE PROFORMA INVOICE.

当初の契約書と違う商品が届く事への懸念が表れています。

◆B国：NAME AND ADDRESS OF THE APPLICANT MUST BE PRINTED/WRITTEN IN UNDELETABLE INK ON THE PACKAGES (AT LEAST 2PCT OF TOTAL PACKAGES)～　.

バイヤーの名前（社名）及び住所が商品パッケージに消えない状態で印字されていなければならないというような事が頻繁に登場します。盗難への懸念が伺えます。

他にも、◆C国：SHIPPING MARKにバイヤーのE-MAIL住所や納税者番号など、持ち主が分かるような情報の記載を指定されることもあります。

◆D国：COUNTRY OF ORIGIN MUST BE CLEARLY MARKED ON ALL GOODS/PACKAGES/CONTAINER IN ENGLISH VERSION. 原産国の明記を求められる場合も多くあります。

◆E国：要求書類の種類が極めて少ない。稀にPLも求められない場合もある。輸入通関が他の国に比べたら、それほど厳しくないのかなぁという印象を受けます。

◆F国：LC開設日より LATEST DATE OF SHIPMENT (船積み期限)までの期間が短すぎる場合が多いため、

対応が困難な場合がしばしばあります。考えられることとしては、相手国と日本の間に配船が多く、船積みがいつでも可能と思われている。また、輸入者(信用状の発行依頼人つまり、バイヤー)と開設銀行間で、この期間及び信用状の有効期限の枠を設定するための手数料が高く、短く設定した可能性があることなどが考えられます。

同様に、◆G国：PERIOD FOR PRESENTATION (手形及び買取書類の呈示期間)も短い場合があるので、要注意。一般的に「出港してから何日以内」と記載される。長い場合は10~14日以内、一方短い場合は5~7日以内。さらに「WORKING DAY」と記載がない場合は、土日が数えられてしまうため、出港してからBL原本が郵送で手に入り、銀行へ提示するまでの日数が足りなくなる場合もあるので、要注意。

貿易シーンにおいては、国によって商習慣や価値観などが異なるのはごく当たり前なことです。実務をする身としては、それらを認め、丁寧に対応しなければなりません。本日ご紹介致しました事が皆様に少しでもお役に立てれば幸いです。

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