中京重機のオフィシャルブログです。
2017 02.13
こんにちは。
さて、今回は営業の途中で見かけたすごい油圧ショベルをご紹介します。
トヨタ自動車をはじめとする製造業が盛んな東海地区、とくに沿海部にはいろいろな興味深い機械設備や巨大な工場が立ち並んでいます。
とくに注意深く眺めていると重機・建機の分野でも珍しい機械がいるところには居ます。
先日、たまたま見つけた油圧ショベル
「コマツPC1800-6」2台を切り口に中京重機周辺の経済環境をご紹介したいと思います。
先日、通りかかったのは名古屋市近郊の産業都市である半田市。
この「半田市」はソニー創業者である故盛田会長の故郷であり、その生家である盛田酒造やミツカン酢本社がある古くは港湾物流の盛んな商業都市でした。
隣り町の「常滑市」も古くは土管の一大生産地で一世を風靡しておりましたが、現在ではそれらは観光資源となっており、それに取って替わって常滑市には中部国際空港ができ、半田市は名古屋港東側にたち並ぶ工業地帯(とくに鉄鋼,コンビナート)とトヨタ自動車とその関連会社が多い三河地区とを結ぶ交通の要衝になっております。
港湾物流は衰えたものの「衣浦海底トンネル」が整備され尾張地区の半田市と三河地区の高浜市を結びトラック等の物流はいまも大変盛んな地区なのです。
私が通りかかったのはそんな衣浦海底トンネルの半田市側入口の小さな波止場。
「あれ?」変なところにコマツ製の黄色いボディーが・・
停泊中の作業船の上に油圧ショベルが!?・・よく見ると・・
「KOMATSU PC1800-6」・・なるほど、180トン?・・え、かなりの大型機なんじゃないの?
作業船の上にPC1800-6の上部旋回体が対になって向かい合うように固定されています。
おそらく土壌改良か何かに使う浚渫船なのかな?半田市で?
なかなか興味深い機械が身近にあるものですね、しかもどういう使い方をされるのでしょうか?
これはもう、押しかけて聞いてみるしかありませんね・・と、いうことでまずはレポートから。
突然、お邪魔して申し訳ありません。と、いうことで写真撮影させてもらいました。わが社でもPC1800クラスの油圧ショベルを検品したのは私ぐらいではないかと自負しているのですが、まずはその全容から。
バケット容量は、11㎥(一般機の15~20倍)もあります。風力搬送機は2200㎥/時の処理量。
バックホー作業装置部分はすごい迫力!アタッチメント用配管は?・・無いか。
ちゃんとコマツ建機の銘板も排ガスステッカーもついてます。年次点検もきちんとしてます。
台船全容とエンジン部分。PC1800-6のエンジンパワーは460PSもある!
この船、全長70メートル、幅25メートル、排水トン数は不明ですが1000トンぐらいはあるのかな?
「バックホウ浚渫船」かと思いきや、いやいや資料にありました。「風力搬送船」という浚渫工事に用いる作業船でした。すごいですね、これ一艘で使用するのではなく様々な浚渫作業船と組み合わせて埋め立て工事の現場で活躍する船でした。
ここでは、東海地方と浚渫工事についてその歴史を考察したいと思います。
伊勢湾と「浚渫・埋め立て・土壌改良事業」は切り離して考えることはできません。
特に名古屋港は濃尾平野を流れる木曽三川(長良川、木曽川、揖斐川)が運び出す土砂によって遠浅の海が広がっており、これを国内屈指の国際貿易港に発展させるため、多くの人々のたゆまぬ努力によって埋め立て工事が繰り返され人工的良港を作り上げてきた歴史があります。
現在、名古屋港は年間入港船舶32,000隻以上、総取扱貨物数量1億6000万トン以上というまさに東海地区の生活と産業を支える玄関口となっています。
名古屋港が開港されたのは明治40年(1907年)。それ以来、特に戦後の高度経済成長期に自動車産業の急激な成長と物流の要望に伴い港湾の設備が急ピッチで整備されてきました。昭和34年(1959年)の伊勢湾台風による甚大な災害を受けながらも高潮や自然災害にも強い港湾施設を新たに増強し、また現代の観光産業や貿易用のコンテナ流通にも対応すべく新しい港湾施設を常に提供しています。
これらの工事はすべて「浚渫・埋め立て・土壌改良事業」の繰り返しで成り立っており、国内でも類を見ないほど機能的に配置された港湾施設は計画的に埋め立て事業がなされてきた証拠と言えます。
また近年では海上空港となる中部国際空港ももちろん埋め立て事業の産物と言えます。
これらの工事をになってきたのがこの作業船を使って作業する地元の浚渫業者の皆さんなのですが、浚渫って言ってもよく調べると環境保全の仕方や技術の進歩によっていろいろな方法があるようですね、私が見た風力搬送船とは最新の技術で大規模な埋め立てをするラインの一部の船舶だったみたいです。
「浚渫・埋め立て・土壌改良」といってもこれだけ大規模な事業となるとその作業は大変なものです。
以前はグラブ式浚渫船で海底土砂を掻き出して運んでいたようですが大規模事業では効率が上がりませんでした。
またポンプにより海底浚渫土砂をそのまま埋め立てに使用していたころもあったようですが、どうしても埋め立て地で余水による汚濁の問題や地震発生時の液状化現象など土壌改良の必要性も同時に発生してきました。
そうして改良された埋め立て方法がいくつもの作業船で埋め立てラインを作り浚渫を行うというもの。
1,グラブ浚渫船による海底土砂の掻き出し
2,土運船による一時滞積と運搬
3,風力搬送船への積込み(ここでバックホウPC1800-6登場)
4,搬送機による配送管への送り込み
5,固化剤混合による土壌改良
6,配送管搬送による直接埋め立て
すごいですね、海底土砂を掻き出して堆積土を浚渫しながら風力で土砂を送りだし途中で土質改良までして直接埋め立て地へ送り込んでしまう・・この搬送機は空気の力で1時間に2000m3もの土砂を搬送管に送り込むことができるとのことです。
今回、たまたま見かけた大型機械をいろいろ調べると、東海地区の歴史まで勉強することができました。
この風力搬送船はしばらく休憩中のようですが、今後また中部国際空港の第2滑走路の計画等がありますのでその時にはまた大活躍することにきっとなるのでしょう。
その時が大変楽しみです。
弊社の在庫にPC1800はありませんが大型の油圧ショベルをお探しではありませんか?
弊社がよく取り扱う大型機といえば、日立ZX350LCK-3や同じく日立ZX450LCH。またそれに組み合わせる土質改良機の日立SR-G2000や日立SR2000Gは実際に伊勢湾岸の浚渫工事現場で活躍しています。
在庫にない機械もネットワークで探します。どうぞご依頼ください。
さあ、今年も好奇心いっぱいで特殊建機・建機をレポートしてまいります。
どうぞよろしくお願い致します。
A.S.
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