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2022 07.08

建機のようにクローラを装着する防衛装備品、戦車。その走行性能ってどんなもの?

投稿者: 加藤 一明

カテゴリ: 重機建機建設機械戦車

先週は、日本各地で異常に高い気温を記録するなど真夏を先取りしたような暑さに体が悲鳴を上げました。

ここ名古屋においても例年よりかなり早いタイミングで梅雨明け宣言が出され、これは今年は長い夏になりそうだなと身構えておりました。

ところが今週はうってかわって雨の日続き。

「梅雨明けとは・・・」と鉛色の空を見上げながらつぶやいております。

 

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自衛隊ではクローラを履帯と呼ぶ。

さて、来る710日の日曜日は参議院議員通常選挙です。

近年では選挙のテーマとして、国の基本的な安全保障のひとつ「国防」も議論される傾向が強まっており、ロシアとウクライナの戦闘が長期化の様相を呈しているなか、日本の市井においても国防についての意識が高まってきているのを感じます。

元陸上自衛官の私といたしましては、国防についてタブー視することなく、老若男女いずれの立場の方々でも、是非このあたりの議論を活発にしていっていただきたいと願うところであります。

また、議論をするにあたり、国が一体どんな防衛装備品を持っているのか?その装備品はどんな性能があるのか?そういった情報を得ることも必要になるでしょう。

そこで今回は、建機と同じくクローラで走行する、陸上自衛隊の防衛装備品である戦車について少し紹介したいと考えました。紹介する内容については、建機に関わる方々が比較的に取っ付きやすい部分はどこかなと考えまして、エンジンや駆動系、足回りをピックアップした内容にいたしました。 

建機・重機といえばクローラ(無限軌道)によって移動するものがほとんどなのですが、戦車もクローラ(無限軌道)で走行をします。陸上自衛隊ではクローラのことを履帯(りたい)と呼び、履帯を装着している車両を装軌車両(そうきしゃりょう)といいます。戦車も建機・重機と同じく、タイヤ(装輪)では走行が難しい不整地を走破するために履帯を装着しています。

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建機・重機のクローラ、陸上自衛隊ではを履帯と呼びます。 

それでは本題に入りましょう。

以下の記事が、国の安全保障について興味を持っていただくきっかけになれば幸いです。

 

車重50トンの戦車を高機動させる強力なエンジン

陸上自衛隊では、2010年に制式化された10式(ひとまるしき)戦車、1990年に制式化された90式(きゅうまるしき)戦車、1974年に制式化された74式(ななよんしき)戦車が現役で動いています。戦車は非常に重く、この中で最も重い90式で約50トン。10式は約44トン。74式は約38トンの重量があります。外国が装備する戦車の中には60トンを超える重量のものもあり、日本の戦車は比較的に軽量な部類に入ります。 

建機も大きなものは大変に重いですが、戦車の場合は建機とは違って様々な状況で自由に動き回れる高い機動性を求められるために、建機と比べてかなり強力なエンジンが搭載されています。例えば90式(約50トン)においては、搭載されているその強力なエンジンが【最高速度約70km/h、加速性能0-200mまで約20秒】という驚きの動力性能を発揮させます。 

まあ建機と戦車では、同じクローラ(履帯)を履いたもの同士とはいえ使用目的が大きく異なりますし、また建機と戦車の大きな違いとしては、ほとんどの建機がエンジンの力を油圧に変えて油圧モーターを回して走行装置を駆動させているのに対して、戦車は油圧モーターを使わずに、一般的な車やトラックと同様にトランスミッションを介してエンジンの力を直接に走行装置へ伝達しているという違いがあります。 

このように、求められる仕事の内容が違うこと、そして動力の伝達方法も異なることから、当然それぞれの目的を達成するための必要に応じたスペックを備えるエンジンが載せられています。 

  • 同様の車体重量の建機と戦車のエンジンスペックの比較 

50トンクラス油圧ショベルのエンジンの一例 》

水冷4サイクル直列6気筒ディーゼル 9,800cc 367ps/2,000rpm

 90式のエンジン 》

水冷2サイクルV10気筒ディーゼル 21,500cc 1,500ps/2,400rpm

2サイクルディーゼルっていうのも今どき珍しいです。ちなみに74式に至っては「空冷」の2サイクルディーゼルです。)

トランスミッションの詳細は軍事機密

続いて、戦車の超強力なエンジンパワーを、履帯(クローラ)を動かす起動輪(スプロケット・ホイール)に伝えるトランスミッションについてですが、10式は無段変速のハイドロメカニカルトランスミッション(以下、HMT)、90式はオートマチックトランスミッション(前進4段 後進2段)、74式はセミオートマチックトランスミッション(発進時、停止時はクラッチ操作が必要)となっています。

制式化されたそれぞれの時代に応じて進化していっているのが分かります。 

最新型の10式に搭載されている無段変速のHMTは、各国の主力戦車としては世界で初めて採用された機構とのことで、10式に搭載されているHMTについての詳しい構造は軍事機密となっており公開されておりません。

ちなみにこの10式の無段変速HMT、前進70km/hと併せてなんと後進でも70km/hの走行を可能にしています。

大きな運動エネルギーを制御する強靭かつ超高性能なサスペンション

4050トンという非常に大きな車重を持つ戦車を最高70km/hもの速度で走行・旋回させるわけですから、その車体を支えるサスペンションもかなりの高性能なものが必要となります。

10式は油気圧(ハイドロニューマチック)サスペンション、90式は油気圧(ハイドロニューマチック)とトーションバーを併用したサスペンション、74式は油気圧(ハイドロニューマチック)サスペンションとなっております。 

10式と74式の油気圧式サスペンションはすべての転輪に付けられていて、特に最新型である10式の油気圧サスペンションには最先端の技術が惜しみなく投入されております。例えば動画サイトにあがっている10式の走行動画などを観ても、不整地をヌルヌルと滑らかに走行・旋回していてその姿勢制御の技術の高さに驚きます。 

また制動能力(ブレーキ性能)も非常に高く、全制動時では50km/hの速度から23メートル(地面の状況による)の距離で停止可能とのことです。確かにこのストッピングパワーは凄いんですけど、全制動時には中の人はどんな状態になってるんだろうと気になるところではあります・・・(私は陸上自衛隊では普通科(歩兵部隊)に所属しておりましたので戦車に乗ったことはありません)

 以上、建機と戦車がどちらもクローラ(履帯)で走行するという共通点から、皆さんにはあまり馴染みがないであろう戦車のエンジンや走行装置について紹介しました。

クローラを付けていて似たような足回りに見える建機と戦車ですが、そのエンジンや走行装置の内容には驚くほど大きな相違がありました。 

今回はエンジンと走行装置に特化した記事としましたが、建機の本質は建設や土木の作業機械であり、戦車の本質は兵器であります。この先、戦車が日本の国土を縦横無尽に走り回らざるを得ない状況にならないよう、選挙の際には、国の安全保障も含めてしっかりと日本の舵取りが出来る議員に一票を投じたいと思います。

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まとめ

クローラを付けて似た足回りに見える建機と戦車ですが、エンジンや走行装置の内容には大きな違いがあります。

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