中京重機のオフィシャルブログです。
2021 01.15
カテゴリ: 重機、 建機、 建設機械、 インナーパーツ、 バルブ、 日常点検、 中古
こんにちは、稲鶴です。
みなさんお正月休みは如何でしたか?
とびとびの休みでしたが社会復帰するのに大変です。
休み呆けが抜けずに大変です!!!
休み中、人混みを避け久しぶりに外出しましたが、マスク・手洗いを徹底し短時間で帰宅してました。
さて、前回のブログでは、オイルフィルターについて書きましたが、皆様のお役に立てたでしょうか。
今回は簡単なコモンレールシステムのお話しです。
重機・建機に広く利用されているディーゼルエンジンの「コモンレールシステム」とは、最近のディーゼルエンジンに用いられる燃料の噴射システムの事です。ガソリン・エンジンのEFIに相当する箇所になります。サプライポンプにて高圧化された燃料がレールと呼ばれる蓄圧室に蓄えられて、ECUの指示によりインジェクターから燃焼室に噴射されるシステムです。エンジンの回転に依存せず噴射圧力と噴射時期を制御してます。
軽油を燃料とするディーゼルエンジンは低回転域から力強いパワーが出る特性があり、トラックや重機・建機に古くから採用されてきました。しかしガソリン(ベンゼン)を燃料とするエンジンに比べ窒素酸化物と燃えカスであるススが多く出ることがウイークポイントでした。近年よくうたわれる環境保護の観点からそういった特性をメーカーが改善するために採用した新技術が「コモンレールシステム」なのです。
要は燃料を完全燃焼させてNOx・PMを大幅に低減させればいいのですが、オクタン価の低い軽油燃料ではなかなかうまく燃焼を制御できないのがこれまでの悩みでした。これを可能にしたのがコモンレールシステムです。
簡単にいうと・・新開発の「サプライポンプ」によって今までとは比べ物にならないほどの燃焼への高圧化が可能になったこと。それからこれとセットで」「ピエゾ素子制御式インジェクター」によって高圧化された燃料を思うように噴射制御(1秒間に数百回以上!)できるようになったこと。それをつなぐ配管が特徴的な形状(コモンレール)なのでこの名前で呼ばれているのです。
主に重機業界では「オフロード法 第3次規制」以降に搭載されているエンジンがそれです。
実際にこのエンジンを搭載している機械に乗ると、急激な負荷をかけても黒煙が発生することもありません(わかりにくい燃費向上をうたった新開発のエンジンなんかよりずっと明白にわかります)。大したものです。
「第3.5次規制」クリア型エンジンはこれに加えて、特殊なキャタライザーによって排気ガスからススをこしとる装置が加えられたもの、さらに「第4次規制」クリア型エンジンは混合機に尿素(アドブルー)を添加してクリーン化を加速させたものです。
でもでも、燃料が超高圧な状態になるのでエンジンの各構成部品に負担がかかりやすくデリケートなのが弱点(これらは技術の進歩と生産性向上から必ず改善されていくものですが)。燃料代をケチって重油など入れようものなら高価なサプライポンプは音を上げ、インジェクターが全滅するでしょう・・そして燃料代のお釣りをはるかに上回る金額の請求書がエンジンメーカーさんから届くのは間違いありません。
重機・建機に利用されているディーゼルエンジン、コモンレールシステムが搭載されています。
・サプライポンプ
このシステムになってから、重要な部品です。何故なら燃料を超高圧にしてコモンレールへ送るエンジンの心臓部分だからです。
・コモンレール
超高圧の燃料を一時的に貯めて置いてエンジンの燃焼に最適な圧力でインジェクターに燃料を供給する。
・インジェクター
エンジンECUからの信号を基に燃室内に燃料を霧状に噴射し、燃焼による高温の中、高圧に上げた燃料を1回の燃焼あたり、およそ4回の噴射を高速で行っています。常に 過酷な環境で働いているインジェクター。
不具合が起きれば エンジンの振動、白煙、黒煙の発生など ディーゼルエンジンにとって重要な故障の原因に繋がります。インジェクターの項目で4回の噴射を高速で行っているのにも工程があります。
【1】パイロット噴射 【2】プレ噴射 【3】アフター噴射 【4】ポスト噴射
項目の説明をしていると長文になりますので、今回のブログでは割愛させて頂きます。今回は【1】のパイロット噴射について述べます。燃焼あたりに行なう複数回の燃料噴射は、それぞれの異なる目的があります。パイロット噴射は、燃焼初期段階の圧力上昇を緩和する為の微量噴射。あらかじめほんの少しだけ燃やし、燃焼開始を穏やかにすることで燃焼の圧力上昇によって生じる音を低減させてます。これ以上、噴射、燃焼などと、能書きを垂れると難しくなるのでこの辺で必例します。
あたり前ですが燃料は必ず軽油のみを使用して下さい。安い燃料を使用していると、突然壊れ、大変な事になります。インジェクター交換をするとパソコンを接続してID番号を打ち込まないと、インジェクターの性能が100%発揮されないので、費用がかさみます。
この様な事にならないように、日々の日常点検を実施し、機械の長期稼働を目指して下さい。
私自身も、インジェクター交換をした事が有りますが交換自体はそんな時間がかかりません。その後の作業の方が大変です。PCを接続して、ID番号を入力したりと、ほぼ一日作業になります。
燃料は必ず軽油を利用してください。
~豆知識~
リビルト品のインジェクターはそのまま交換で良いのですが、新品のインジェクターは軽油に浸してから、交換しないと、すぐ先端が傷つきます。
某メーカーは新しいID番号を入力しなくても、70%~80%で作動するので問題ないと
言ってますが、実際のところは良いか、悪いか分かりません。
・ディーゼルエンジンのコモンレールは噴射圧力と噴射時期を制御する役割を担っています。
・コモンレールは。サプライポンプ・コモンレール・インジェクターの3つお部品から構成されます。
・必ず燃料は軽油を利用してください。
K.I.
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