中京重機のオフィシャルブログです。
2017 05.12
カテゴリ: 重機、 建機、 環境機械、 建設機械、 ガラパゴス、 土質改良機、 中古、 環境リサイクル機械
こんにちは。
ゴールデンウイークの長い休みが終わってからの1週間はいかがでしたか?
しっかりリフレッシュしてバリバリ仕事ができましたか?
それとも、ちょっと体が重く感じたでしょうか?
私は・・・・・・
休みの日でも工事現場を通りかかるとついつい使われている重機が気になってしまうので、結局仕事をしている方が落ち着くのかもしれません。
さて、今回お伝えするのは、街角の工事現場などではあまり目にする機会がない『自走式土質改良機』についてです。
重機・建機の中には、特別な作業に特化して使われるものが多くあります。
自走式土質改良機もそういった特殊な重機・建設機械のひとつです。
利用される場所は、主に港湾や河川地域、沼地などの浚渫(しゅんせつ)工事や高速道路の建設工事の現場で、その名の通り「土」の「質」を「改良」するために使われています。
愛知県では、伊勢湾の護岸工事によく利用されていますね。
※弊社ブログで取り上げました!→東海地方は珍しい重機・建機の宝庫
海岸線の多い我が国では河川改修から埋め立て現場まで浚渫事業が盛ん。
自走式土質改良機は、「環境機械・リサイクル機械」といわれますが、これは、工事のために掘り出した土砂に「セメント系」や「石灰系」の添加剤を混ぜて再利用できる土に変えることで、環境に配慮し、資源を有効に活用するための重機だからです。
例えば、浚渫(しゅんせつ)工事で水中から掘り出した土砂は水分を多く含んでいるため、そのまま埋め立てなどに再利用することはできません。
このような土砂は、廃棄物として処分することになります。
また、道路工事の際に新たに盛土をする場合、適した土をどこかから採掘し、運び入れなくてはいけません。
工事で掘り出した土砂を再利用して盛土を作ることができれば、土砂の廃棄場所が不要になり、土砂の採掘も不要になります。
また、トラックでの運搬作業も最低限に抑えられます。
埋め立て、再開発、高速道路建設現場などでニッチで縁の下の力持ち的活躍。
もちろん、行政による様々な規制やルールがありますので、今回書いたように単純に再生土の活用ができるというわけではありません。しかし、環境に対する問題意識が高まっている現代では、今後も、大きな役割を持つ重機になるのではないでしょうか。
実は、自走式土質改良機を環境機械としてではなく、少し変わった使い方をしているお客様に出会ったこともあります。
例えば、窯業です。土質改良機は、原料土に添加剤を混ぜるという働きをする機械です。その特徴をいかして、焼き物に使う土を混ぜていました。
自走式土質改良機は、環境機械・リサイクル機械としてだけでなく、もっと使い方が広がっていくかもしれませんね。
自走式土質改良機は、使われる場所が限られていることから、ニッチな重機だといえますが、構造自体はそれほど複雑なものではありません。
それにもかかわらず、現場の職人さんのノウハウが再生土の質を大きく左右します。
つまり、土質改良機は単純な操作方法の会得だけでなく熟練のテクニックが必要な重機なのです。
メーカーが設定した性能を十分に引き出そうとするには事前の混合機セッティングから実際に生産される改良土の品質管理までいろいろな経験則が必要です。
汚泥改良等の産業廃棄物業者の場合固化剤サイロと組み合わせて定置化しているものもある。
「原料土に固化材を混ぜて再生土に改良する」と、言ってしまえばひと言ですが、原料土の土質や水分量などは、現場ごとで違います。
また、その原料土をどのような状態に再生したいのかも違っています。
それらの状態を見極め、数種類ある固化材の中から何を利用するのか。また、どれくらいの量を添加するのかを決めなくてはいけません。
固化材の添加量を土質改良機のセンサーに覚えさせる「キャリブレーション」という作業は意外と大変です。
コンベアを流れる土の量に対してどれだけの添加剤を投入するか設定するものですが、正確に目的の再生土を仕上げるためには、キャリブレーション作業を何度も繰り返して微調整をしなければいけません。
また、再生土は利用方法などによって自治体ごとで規制があるため、それに沿ったものでなくてはいけません。
場合によっては、固化剤の添加量などの記録を自治体に提出しなくてはいけないこともあるため、記録用プリンターが装備されているのも土質改良機の特徴です。
固化剤配合の履歴を蓄積しプリントアウトする機能はもう必須です。
比較的シンプルな作りの混合機本体に比べてセンサーや操作、調整に繊細さが要求されるのが土質改良機です。
さて、最後に自走式土質改良機にどのような種類があり、それぞれどんな特徴があるのかを紹介します。
海岸線の多い日本国内では全国津々浦々で自走式や定置式の土質改良機がすでに数多く稼働中で様々なケースで実績を上げていることと思います。
そんな中で我々がよく取り扱う自走式土質改良機に注目するとそのメーカー実績は明らかです。
人気を2分しているオレンジ色の日立SR-G2000/SR2000Gと黄色のコマツBZ210-1リテラG-MODE。
このふたつのメーカーです。
日立製品ととコマツ製品では、土を攪拌する方式に明らかな違いがあるため、どうも・・それぞれに適した現場・土質等で適、不適がはっきりしているようです。
導入に当たっては、用途・原料土の性質によって日立、コマツ製品の構造的特徴をよく理解してどちらが適しているのかを判断して選ぶようにしてください。
△砂礫が混ざるとパドルの摩耗が激しくなるので、耐摩耗パドル取付等の対策が必要。
〇処理量もさることながらよく攪拌された良質の改良土が得られる。
2本のミキサーシャフトが陣取るSR-G2000の混合室内部、パドルミキサーとそれを受けるライナー。
〇固化材を入れるホッパーが蛇腹状で伸縮するので、回送時もたたんで移動できる。
×ホッパーをたたんだ状態で付着した固化剤が固まると伸ばしたとき破れてしまうことがある。
ジャバラになっているので伸縮自由。
〇摩耗や劣化したときなどの交換が容易。
△ハードに原料土を投入使用したときに偏りや損耗が激しい。
投入、排出ともにベルト製のコンベア。揺動ゲートの奥には馴らしローラーが付いている。
〇大きめの土の塊が混ざっていても粉砕攪拌できるので前処理が比較的ラク。(G-MODE搭載機は処理量が大)
△頑丈な混合室を過信し小石除去を怠ると混合室を破損させやすい。
混合室内部はソイルカッターとロータリーハンマーで原料土をほぐし固化剤をたたき込む。
排出コンベア先端についているアフターカッター。
×固化材ホッパーを取り付けた状態では背が高いためそのまま回送できない。(回送時は固化材ホッパーを取り外す)〇鉄製ホッパーなので壊れにくく修理も比較的簡単。
4トン車で別に運んでください。
〇耐衝撃性や耐摩耗性が高い。
△リンク固着やブッシュ摩耗の際は修理費が大変。
投入ホッパーと足回りから流用したと思しきコンベア。
これらの特徴から、粘土質の土や水分の多い土を扱う場合は日立建機製、土の塊が混ざりやすい原料を扱う場合はコマツ建機製を選択するのがセオリーのように感じていますが・・
実際には「コマツ BZ210-1 RETTERA G-MODEで含水率の高い原料土の浚渫現場改良にチャレンジしているよ!」とか「ロールクラッシャー1次破砕→ワンオフ製作スクリーンを日立 SR-G2000に搭載してダイレクトに解体廃材ガラの改良に成功しているよ!」といった声を聴いたりもします。
これらの自走式土質改良機は発売以来メーカーはもとより専門的に導入してきたレンタル会社(ニッチな機械にもかかわらず)に現場事例のフィードバック情報が多く蓄積されているようです。
「難しそうだけど、導入を検討しなければいけない!」というユーザーさんも、まずはこれらの専門性の高いレンタル会社にやりたい仕事を具体的に相談してオペレーター付のレンタル機を借りてみるのもいいかもしれません。
土質改良機は多く出回っている重機ではありませんが、中京重機株式会社では中古の自走式土質改良機も取り扱っています。
自走式土質改良機をお探しの場合は、ぜひご相談ください。
土質改良機は、浚渫(しゅんせつ)工事の現場や高速道路工事の現場などで活躍している特殊な環境機械として重要度が高い重機。
重機の特殊性から、現場のノウハウや職人さんの腕がとても重要。
粘性の高い土や水分の多い土には、パドルで土を混ぜ込む日立の土質改良機を。
石が混じりやすい土には、カッターとハンマーで土を切りながら叩き込むコマツの土質改良機を。
A.S.
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