中京重機のオフィシャルブログです。
2021 03.18
カテゴリ: 重機、 中古建機、 中古重機、 修理、 スクリーン、 環境リサイクル機械
こんにちは、営業の平賀です。
暖かくなってきましたが、花粉と黄沙の挟み撃ちはつらいですね。
上手く対策して乗り切っていきましょう。
今回は約2年ほど前の事になりますが、弊社が販売した「日立製移動式スクリーンVR516FS」について、納入後に起きたトラブルとその後大規模に修理した時の話を書こうと思います。
釈迦に説法になりますが、スクリーンはボックス(桶と言ったりします)が本体フレーム上にスプリングを介して搭載されており、このボックスを水平に貫くシャフトの片側に付く偏心ホイールの作用により振動します。モーターからの出力はベルトを介して伝達されます。ボックス内には5つの枠のようなフレームが付き、それぞれに織網が取り付けられます。
VR516FSのボックス
納入後まず最初に顕れた症状は「網がすぐ切れる」でしたが、次は「枠の骨が折れてしまう」でした。粘る土だと篩いきれずに負荷がかかりすぎる事がありますので、まずは枠を溶接しなおし、締結しているボルトナットも替えて、網は張り直して上で経過観察としましたが、症状は改善しませんでした。それどころか悪化しました。フレームを締結しているボルトが破断して枠ごと脱落したのです。幸い二次被害は出ませんでしたが、問題は他にあることが明確になりました。現場が止められないという事情もあり、対症療法的な対応をしばらく続けていましたが、ある日大きな異音がして機械を止めた、と連絡が来ました。
急ぎ現場へ急行すると、スクリーンボックスの片面に複数の亀裂が入っていました。大きい物ですと15㎝くらいあったでしょうか。亀裂を溶接加修し、切れた網やフレームも同様の処置をしましたが、協議の結果、根本的な修理をやろうという事になりました。
ボックスに亀裂が入っていた。
弊社ヤードに機械を搬入して早速スクリーンボックスの取り外しを行いました。VR516のボックスはプラモデルの様に板を組み合わせて構成されています。亀裂が入った側面の鋼板はどうやら9㎜のSS圧延材のようですが、歪みも見られ修正は不可と判断しました。
スクリーンを分解し、ダメージの診断を徹底的に行う。
交換しなければなりませんが、メーカー部品在庫は欠品状態で納期がかかりすぎる(6か月ほど?!)ため製作する事としました。正確な図面があればいいのですが、それもままならず現物合わせで図面を引き、加工業者に作ってもらいました。2週間程度で仕上がってきましたので、組み上げていくとなんとボルト穴の位置が合わない箇所が出てきました。左右の鋼板を内側から固定するシャフト、鋼板、スプリングが入るブラケットの3枚を縫う箇所が20か所ほどあるのですが、3つの穴がずれてボルトが入りません。ハンマーで叩き込んである程度まで進めましたが、進めるほどにズレが大きくなっていき、しまいには半分も重ならない穴が出てきて、これは組み上げるのは無理だ、と。一番心配していた事態が現実になってしまい、どうしたものかと頭を抱えました。再製作するしかないかとも思いましたが、納期遅延とコスト増があり気が進みませんでした。次善策として、穴の再加工か大径化を検討しましたが、どちらも将来的に問題を引き起こす事は明白でした。やはり答えは再製作一択と覚悟しました。
事前に穴開け加工をするのはリスキーと分かりましたので、今回はボルト穴の加工は組む直前にやる事にしました。亀裂の入っていない方の板と新品の板2枚の3枚をぴったり重ねてクランプで固定し、卓上ドリルで3枚を縫いとおす様に穴開けしていきました。
これが上手く行き2回目の組み上げ作業はまずまずスムーズに行きました。
振動シャフトのベアリング(これを抜くのもなかなか手間でした)、スプリング、駆動ベルト、織網フレームなど新品に替えていき、組み上がった機械を見るのはなかなか感慨深いものがありました。
試運転するときはヒヤヒヤしましたが、問題なく動いてくれました。お客様のプラントへお戻しさせて頂き、その後何度か微調整がありましたが、元気に稼働しているようでなによりでした。
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S.H.
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