中京重機のオフィシャルブログです。
2021 08.20
コロナとの闘いが長期戦の様相を帯びてまいりました。ワクチン接種により感染時の重症化を予防できる可能性は高くなっておりますが、感染の拡大を防ぐ決定的な方策は未だに無い状況です。各々がコロナ陽性者とならないように心掛けて、日々の生活の中で可能な限りのコロナ対策をしていくしかありません。
さて、そんな新型コロナウイルスについて世界で一番最初に対応を迫られた国、中国ですが、この国は私たちの属する建機業界にとって現在世界最大の市場となっています。この中国の建機市場と建機メーカーの動向を注意深く観察することは、私たちが円滑に建機ビジネスを進める上で必要不可欠となっています。
その中国の経済状況についてですが、コロナの影響を物ともせず昨年後半から今年にかけて景気回復が持続しております。例えば今年4~6月期の実質GDPは前期比年率+5.3%と、前期の+1.6%(前年同期比+7.9%)からいっそうの加速がついているような状況です。
そんな景気の堅調な拡大が継続している中国国内では、建機販売台数についてもここ数年は右肩上がりで増加を続けました。2017年に約13万台だった販売台数が、2020年には約29万台と二倍以上の伸びをみせました。
コロナ下でも堅調な中国経済。
中国の建機市場における主要メーカーのシェアも大きく変化しています。2008年のリーマンショック以前は、日本、韓国、欧米のメーカーが8割前後のシェアをもっており、中国系のメーカーのシェアは1割前後という状態でした。ところが中国系メーカーのシェアはリーマンショック後から急激に伸び始め、2010年代の前半には完全に日本、韓国、欧米のメーカーを追い抜いてシェアトップに立ちました。そして2020年のデータでは、中国系メーカーの中国国内でのシェアは7割超となっており、日本、韓国、欧米のメーカーのシェアは3割を切りました。
ちなみに日系のメーカーは2010年頃までは中国国内で4割前後のシェアがあり、当時は中国国内での建機市場でトップシェアを誇っておりました。しかし2020年の時点で日系メーカーのシェアは1割弱というところまで落ち込んでおります。
この中国系メーカーの中国国内でのシェアの大幅な拡大は、中国政府の支援を背景に中国系メーカーが行ってきた施策が実を結んだといえるかもしれません。研究開発の強化による製品の品質アップ、コア部品の国産化などコストパフォーマンスの向上、また販売ネットワークの構築やアフターサービスを充実させるなど、ソフト・ハード両面から販売力を大きく飛躍させてシェアの拡大を達成しました。
建機の需要を左右する中国国内の固定資産投資は依然高い伸びを維持しているものの、今後の展望としては、中国政府の抑制策を受けて固定資産投資がスローダウンすると見通されております。インフラ投資や不動産投資の鈍化を受けて建設機械の販売は調整局面に入りつつあり、実際に油圧ショベルの販売台数はこの春ごろから前年比で減少傾向にあり、建機の平均稼働時間も前年を1割下回る水準へ低下しています。
建機の需要は固定資産投資に左右される。
このように今後数年の間に中国国内の建機市場はピークアウトしていくことが見込まれており、新たな市場を求めて中国系建機メーカーが本格的に海外展開してくることが予想されます。
この10年間に中国国内でのシェアを大きく拡大させた中国系メーカーですが、海外売上比率(売上高に占める海外での売上高の割合)は、日系メーカー他の世界の主要メーカーと対比したときにまだまだ低水準のままです。中国メーカートップの三一重工でも海外売上比率は19.3%(2019年度)にとどまっており(コマツ、日立は海外売上比率が80%台、キャタピラーは50%前後)、今後中国系メーカーが海外販売の強化にどんどんと本腰を入れてくることが予想されます。
中国政府による「一帯一路」構想のもとに、既に海外進出が加速している中国系の建設会社との関係強化による海外建機市場への進出、海外拠点・工場の規模拡大、サプライチェーンの整備、管理体制の現地化など、打てる手は全て打ってくるでしょう。中国系の建機メーカーが怒涛の勢いで世界の建機市場を席捲していく可能性も否定できません。
このような中国系建機メーカーの動向が、私たち中京重機の業務である中古重機・建機の買取・修理・整備・販売に対して、今後どういった影響を及ぼしてくるのか…
私たちは様々なパターンを想定しておく必要があります。
これからも中国系建機メーカーの動きから目が離せません。
コロナの状況下でも成長を続ける中国経済、中国内メーカー製の重機がシェアを伸ばしている。
中国内の重機市場は、今後飽和状態が予想されるので、中国メーカーが本格的な海外進出を行い始めると思われます。
加藤 一明
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