中京重機のオフィシャルブログです。
2017 04.15
カテゴリ: 重機、 建機、 建設機械、 木材破砕機、 中古、 環境リサイクル機械
こんにちは。
これから夏に向けて暑くなってくると巷でこわ~い怪談を耳にするようになりますが、今回のブログでは、季節を先取りして怖い話を。
と、言っても怪談ではなく、
自走式木材破砕機でよく起こる「3つの怖いトラブル」を紹介します。
仕事をする保有機械にトラブルが発生すると、作業がストップしてしまうばかりではなく、修理や買い替えなど予定外のコストも発生します。
むしろ、怪談よりもずっと怖い話かもしれませんね。
そんな考えたくもない結果を防ぐためには、どんなトラブルが起こりうるのか知っておくことも大切です。
まず、よくあるトラブルは、破砕機に金属や石などの異物(メーカーが想定している破砕対象物以外のもの)を投入して破砕室を破損してしまうケースです。
木材破砕機は、林業や太陽光発電の開発現場のほか、解体現場でも利用されることが多いため、例えば廃材に混ざっている釘やボルトなどの金属部品を一緒に投入してしまうことがあります。
解体廃材には多くの金属部品も混入している。 横入れ式木材破砕機の投入コンベア
大方の木材破砕機は磁選機がオプション設定されているということもあり、釘や小さな部品ぐらいは混入することが前提として作られてはいますが、誤って投入してしまう異物によっては、破砕ドラムが損傷したり、破砕ビットが破損することもあります。
大ハンマーを誤って投入してしまい、破砕ドラムに穴が空いてしまったという事例もありました。
海外製の自走式木材破砕機の中には、エンジンの動力をクラッチで直接破砕機に伝えるタイプがあります。
このタイプはエンジンの馬力が強く、破砕処理能力が高いのが特徴です。そんな木材破砕機を利用していたお客様が異物混入をしてしまい、ドラムを破損しただけでなく、エンジンまで壊れてしまったという事例もあります。
破損した破砕ビットとビットホルダー 破砕受け歯(アンビルプレート)も損傷していく
ピーターソンパシフィック製HC1410のクラッチ構造とクラッチドライブベルト
自走式木材破砕機は大きな力で木材を破砕ビット(動歯)やアンビルプレート(固定歯)に打ち付けて破砕する仕組みなので、異物が混入した際には、破砕物が接触する破砕室内の構造物に大きなダメージを与えてしまうので注意が必要です。
コマツ製の自走式木材破砕機や一部の海外製自走式木材破砕機は安全装置や動作手順がコンピューター制御されている製品が多く、そのため、様々な部分に電気部品や電子回線が取り付けられています。
【失敗しない自走式木材破砕機選び!】~知っておきたいメーカーによる特徴の違い~
「さあ、仕事!」で破砕機を使いたいのに「うんともすんともいわない」ときなどは、木材破砕機本体には問題がないのに、安全に利用するためのチェック機能(回路)がトラブルを起こしていることがよくあります。
大量に木材チップを処理生産する木材破砕機は木材を破砕した際に出る木くずが機体内部に溜まった状態で放置していると、徐々に細部にたまった木くずが腐敗してきます。
自走式木材破砕機はいたるところに破砕した木材チップがたまってしまう
その腐敗が電気配線の被覆部をも腐らせ、断線させてしまうのです。
重要な電線コードが断線してしまうと、その配線部分の回路にエラーが出ますので、ディスプレイにエラーコールが表示され、木材破砕機が稼働できない状態になってしまいます。
自走式木材破砕機のトラブルの中で意外と多いのが火災です。
1日の作業を無事に終えて帰宅。翌日、元気に出社したら「焼野原」・・・
夜中に電話のベルが鳴る、いやがらせかと思ったら消防から「火災」の連絡・・・
当事者だったら背筋も凍るような、そんな話を耳にします。
自走式木材破砕機を使う木材チップ生産現場でよく起きそうな火災原因はいくつか考えられます。
山積みにしている破砕チップが発酵することで熱を持ち、自然に発火する現象です。落ち葉などを発酵させ腐葉土を作るときなど、その発酵温度は最高で70℃ぐらいにまで上がるそうです。
破砕チップをダンプに直接積見込む際、排出ベルコンの勾配をきつくつけたくなります。ダンピングクリアランスで約2.5メートルかそれ以上確保しようとすると、どうしても排出コンベアの角度がきつくなってしまします。ターンバックルを絞って勾配をつけすぎるとうまくチップが流れずコンベアの根本に滑って戻ってきてしまうことがあります。
チップが破砕室付近の出口部分に溜まってしまってそこから発火してしまうこともあります。
木材と一緒に金属を投入してしまった時、破砕内でドラムと激しくぶつかることで火花が飛ぶことがあります。その小さな火種が木くずの中に落ちてゆっくりと燃え広がります。
破砕室からこぼれおちて重機内の隙間にたまった木くずは腐敗、発酵して熱を持ち燃えやすい状態になります。
木くずやチップの中に落ちた小さな火種や発熱部位は、くすぶりながらゆっくりと燃えることが多いため、作業中はそれに気づかず、時間を空けて火災になることがあるようです。
木材破砕の現場では、火を使うことは少ないと思います。しかし、動力にディーゼルエンジンを使うことや破砕に油圧モーターを使用することが多い自走式木材破砕機の場合、重機自体も熱を持ち、また破砕時の摩擦熱で破砕ローターなどが過熱していきます。
燃えやすい「木」を大量に扱う現場ですから、火災には十分な注意が必要です。
では、これらの怖いトラブルを回避するためにはどうすればいいのでしょう。
これは、破砕材を投入する際に十分留意するしかありません。破砕物選別等の前処理をきちんとしたいところですが、破砕作業時に万一、普段とは違う音や振動を感じたら、すぐに停止して破砕機の状態確認を行うことで被害を最小に食い止めることも大切です。
破砕チップが発酵する際の熱が蓄積して起こる現象ですが、堆積しているチップの量が多いときなどは表層部に異常が見られなくても内部で可燃性ガスが発生していることがあります。梅雨明け時などに木材チップをためて放置してしまうと雨水がしみこんで発酵を促進し火災が起こりやすいようです。
大気中の水分量や気温などの影響も受けると考えられていますので、堆積しているチップの量を減らし、チップを均すなどしてリスクを軽減することが有効です。
一番のポイントは清掃です。
1日の作業が終了したら、破砕室ハッチや開閉式タブを全開させてブロアやエアコンプレッサーなどで木くずを吹き飛ばすなどの清掃を行ってください。木材の破砕作業では大量の木材チップやおがくず、木粉などが大気中に舞いちります。よって、自走式木材破砕機のエンジンの吸気口廻りやオイルクーラーなどの熱交換機は厳重に防塵対策されている機種が多いですが、それでもフィルターやコアが目詰まりをおこし、その機能が損なわれることがあります。
メーカーカタログより保守・点検に関する装備の内容を一部抜粋
冷却機能が落ちたエンジンや油圧を多用するパワートレーンは急激に性能が低下し、オーバーヒートしてしまいます。早期に気が付けばいいのですが、グラップルをつけた油圧ショベルに搭乗し、木材破砕機のラジコンを時折り操作しながら、振動と騒音のなかで作業に集中しているとなかなか難しいのではないでしょうか・・・
ですので、1日の仕事の段取りの中に、破砕作業終了後の清掃と点検の時間を設けた作業計画作ることが、大きなトラブルを未然に防ぐことにつながります。
いかがでしたか?
今回ご紹介したトラブルは、実際に起こったものばかりです。
このような怖いトラブルがなく、木材破砕機を長く安全に利用してくださいね。
また、メンテナンスなどについてもお気軽にご相談ください。
金属や石などの異物を混入してしまうことで、ドラム破損やエンジン破損が起こることも。
木材破砕機内に溜まった木くずが腐敗して電気回路が断線。
意外と多い木材破砕機の火災。小さな火種がゆっくりと燃え広がる危険が大きなトラブルを防ぐためには、毎日の清掃と点検が大切。
A.S.
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