中京重機のオフィシャルブログです。
2017 06.25
カテゴリ: 重機、 建機、 建設機械、 油圧ショベル、 アタッチメント、 中古
こんにちは。
梅雨入り宣言から雨がほとんど降っていませんでしたが、ようやく雨が降るようになってきましたね。
工事現場は天候に左右されることも多いので
やはり天気がどうなるのかは気になるところでしょう。
今回は、そんな天候に影響を受けやすい林業の現場で活躍する特殊仕様油圧ショベルについて掘り下げたいと思います。
林業仕様の油圧ショベルは、本体だけを見ると一般的な油圧ショベルとの違いはあまりわかりません。
しかし、なんとなくどこか違う気がしますね・・
実はよく見ていくと、大きく2つ違いがあるんです。
ひとつ目の違いは本体足回りです。
林業仕様特殊油圧ショベルといっても使い方は様々です。
各メーカーが"林業仕様"として本体の設計を変更するのは
一般的な山間部(とくに切り株が残っている場所)で移動することを想定して、
クローラーの高さを高目に設計変更しているところです。
「腰高」になっているため、切り株がある場所でも、
それをまたいで走行することが可能です。
しかし急峻な傾斜地での使用が想定される多くの場合は逆に重心が低い標準仕様でありながら
(山中などの一般車両が入ってこられない場所での作業が多いため)
万が一にもクローラーが外れてしまうことがないように、
ローラーガイドや取付ステイ等の足回りの各構成パーツが強化された仕様変更が好まれるようです。
ふたつ目の違いはオペレーション機能です。
一般的な油圧ショベルでは、両手のスティックレバーで重機を操作します。
様々なアタッチメントを取り付ける場合は、油圧配管を両足のペダルで操作します。
林業仕様油圧ショベルにも様々なアタッチメントがありますが、
複雑な動作をするものが多いため、スティックレバーとペダルだけではなかなか思った通りに
コントロールすることができません。
そのため、アタッチメントの複雑な操作は電磁弁やコンピュータで制御している機種が多くあります。
そして、それらのボタンは、スティックレバーを専用改造して取り付けられ
スティックレバー+トリガーボタンという(戦闘機の操縦席みたいな)仕様になっています。
一般的な油圧ショベルでは、一台の重機本体に対して用途に合わせたアタッチメントを取り換えて利用します。
そういった汎用性の高さがアタッチメントの魅力です。
ところが、林業仕様の場合は、オペレーション機能自体をアタッチメントに合わせて改造するため、
重機はそのアタッチメント専用になってしまうのです。
林業の現場では、
・木の根を掘り起こす「抜根」
・林道などを整備する「整地」
・生えている木を切り倒す「伐倒」
・伐倒木の枝を取る「枝払い」
・伐倒木を均等に切る「切断」(玉切り)
・山林内で切り倒した木を集める「集材」
・材木を選別して並べたりトラックに積み込んだりする「仕分け」や「荷役」
など、様々な作業が行われています。
そのため、それぞれの作業に合わせたアタッチメントが開発されています。
参考:イワフジ工業動画サイト
木の根を掘り起こすことができるように、一般的なバケットよりも強化されています。また整地にも利用されます。
チェーンソーによる伐倒ができます。さらに伐倒木の枝払い、測尺して切断する(玉切り)作業までを一連で行うことができます。
伐倒木をつかみ、枝払いをしながら測尺して切断(玉切り)します。つかむ機能が付いているので、仕分けや荷役の作業を行うことも可能です。
丸太をつかむためのアタッチメントで、仕分けや荷役などに利用します。丸太を安定してしっかりつかめるような構造になっています。
グラップルにチェーンソーが付いたものです。丸太をつかんで切断することが可能です。
ハサミ式の伐倒機で立木を「伐倒」しそのまま掴んで「集材」に適した場所まで持っていくことができます。
マツモト製のザウルスロボは、バケットにグラップルとカッターを付与した構造になっており、「掘削」や「整地」といったバケットで行う作業、木をつかんで「仕分け」などをおこなうグラップルの作業に加えて「伐倒」を行うことができます。ただし、カッターを利用しているため、太い木を切ることはできません。
参考:松本システムエンジニアリング
本体にウインチを搭載し、山の斜面などから伐倒木をワイヤーで地引きして集材することができます。ブーム・アームをタワー状にして利用しワイヤーを張り、荷揚げ荷下ろしをするのでラジコン・リモコンがあると便利です。
用途 |
抜根 |
整地 |
伐倒 |
枝払い |
切断 |
集材 地引き |
仕分け 荷役 |
林業仕様バケット |
〇 |
〇 |
|
|
|
|
|
ハーベスタ |
|
|
〇 |
〇 |
〇 |
|
|
プロセッサ |
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|
|
|
〇 |
|
△ ※1 |
スイングヤーダ・ウインチ |
|
|
|
|
|
〇 |
〇 |
グラップル |
|
|
|
|
|
|
〇 |
グラップルソー |
|
|
|
|
〇 |
|
〇 |
ザウルスロボ |
掘削 |
〇 |
〇 |
|
|
|
〇 |
山林では、複数の重機を投入して作業することが難しいため、
ひとつのアタッチメントに複数の機能が搭載されているとありがたいですね。
林業仕様の油圧ショベルは、近年、各メーカーが開発に傾注し様々な仕様の商品が販売されています。
特に、毎年行われる【林業展】に見学に行くと各社のブースは新製品でいっぱいです。
住友建機や日立建機、日本キャタピラーはもちろん専門メーカーのイワフジ、南星から
レンタル業者さんも所狭しと大規模なブースを出展していらっしゃいます。
2016年林業展の様子
よく目にするのは、重機本体に組み合わされるアタッチメントが日本製だけでなく、ケスラーやケトー等の海外製のアタッチメントも純正指定されて、幅広く利用できるようなっていることです。
しかし、一概に「これがいい」とは言えないのが林業仕様油圧ショベルの特徴なんですねえ・・
それは、アタッチメントの種類だけでなく、
重機を利用する環境によってもニーズが異なってくるためです。
例えば、急峻な山で林道を通って山の奥の奥まで入っていかなければいけない現場では、
小型で後方小旋回機能が付いた小回りの利く重機が重宝します。
平坦な場所での作業ならば、小回りよりもバランスの良さを重視するでしょう。
また、大木を扱っている場合は、重量やパワーのある重機が必要になります。
どのような場所で、どのような木材を扱い、どんな用途で利用するのか、それらを複合的に検討して、現場でもっとも使い勝手の良い重機が選ばれています。
さて、中古の林業仕様油圧ショベルってのは・・
なぜかどれも ボコボコ にへこんでしまってますねえ・・
重たく長い木材を狭い場所で取りまわしているため、どうしても重機本体にぶつけてしまうんですね。
そのため、まだ新しく操作状態の良い重機であっても、見た目はかわいそうなほどへこんでいる、ということもあります。
中古で林業仕様の油圧ショベルを選ぶときは、見た目だけにとらわれることなく、
機能や操作状況にしっかりと目を向けるようにしてくださいね。
中京重機では、林業仕様の油圧ショベルなど
特殊仕様油圧ショベルも取り扱っています。
ぜひ、お気軽にお問い合わせください。
クローラーの高さやガイドローラーの足回りとアタッチメントのオペレーション機能に林業仕様ならではの特徴がある。
林業の現場では、抜根や整地、枝払い、荷役など様々な用途に適した多機能なアタッチメントがある。
現場の環境や取り扱う木材の種類などによって、林業仕様油圧ショベルのニーズは変化する。
A.S.
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