中京重機のオフィシャルブログです。
2017 06.17
カテゴリ: 重機、 建機、 建設機械、 油圧ショベル、 解体、 中古
こんにちは。
先日、弊社の社員である稲鶴主任が『公益社団法人 建設荷役車両安全技術協会(けんにきょう)』より優秀技術者として表彰されました。
社内でも改めて表彰をたたえて、スタッフ全員でお祝いしました。
特定自主検査という機械の健康診断を行う有資格の主任者が技術面で表彰されることは、大変光栄なことですね。
私は、表彰されたことなど、とんと記憶にありません。
さて、先日更新した記事『メーカーや仕様で大きく違う!タイプ別油圧ショベルの特徴。』先日のブログで予告しました通り、特殊仕様油圧ショベルについて掘り下げていきますね。
今回は、その中でも解体現場で活躍している解体仕様油圧ショベルについてお伝えします。
解体仕様油圧ショベルというと、ブームの形状に目がいきます。
一般的な油圧ショベルのブームは「くの字」状に曲がっています。
そのため、まっすぐにブームを伸ばすことができません。
解体作業では、ビルの高い場所や地下まであるような基礎部分を解体できるよう、ブームがより遠い位置にまでまっすぐに届くような形状になっています。
解体仕様のブームには、「セパレートブーム」「セミロングブーム」「ツーピースブーム」「3ピースブーム」「ハイリフト」「3つ折れ超ロングブーム」「ショートリーチ」などなど様々なタイプがあり、各メーカーがそれぞれ名称を付けています。
しかし、高いところに届くブームだけが解体仕様油圧ショベルと一般的な掘削用油圧ショベルとの違いではありません。
実は、解体現場で安全に作業が行えるように、様々な工夫が盛り込まれているんですよ。
ボディー下部は鉄板が厚く強化されており、バンパーのようなフレームで保護されています。
また、クローラーもガイドの数を増やしています。
このように足回りが強化されているのは、破砕したコンクリートなどが散乱した現場での利用を想定しているためです。
さらに、上方からの落下物に備えたヘッドガードや運転者を守るためのフロントガードが標準装備されています。
これらの装備は法的にも義務付けられているもので、危険が多い解体現場で安全に作業を行うための対策です。
ブームの構造も解体現場に適したものになっています。
油圧ショベルのブームは、鉄板を貼り合わせた空洞状の構造になっていますが解体仕様の油圧ショベルでは、作業中にブームが破損しないよう、一般的なものよりも厚手の鉄板が用いられています。
さらに、ブーム内に隔壁状の鉄板を取り付け、堅く重いガレキをつかんでも歪まないよう工夫されています。
溶接面が増えたブーム・アームは経年変化しないようサンドブラストと熱処理で無駄な応力を除去しているので、安全が求められる解体現場で多年使い込んでも安心です。
解体仕様の油圧ショベルは、一見すると一般的な油圧ショベルと同じように見えます。
しかし、過酷な解体現場作業に適するように進化して、これほど異なる構造になっているのです。
解体仕様の油圧ショベルの中でも人気の高いメーカーはやっぱり「コベルコ建機」と「日立建機」かな?
各地を訪問して必ず耳にするのは「バランスの良さ」と「燃費の良さ」。
20mを超えるような、3段ハイリフト仕様の機械だと、最大作業高さ付近の操作はかなりシビアなものになります。
安定感があり、作業がしやすいというのは、実際に操縦するオペレーターさんの絶対の安心感につながるのでしょうね・・
メーカー側もそれを十分に理解し、ライナップの充実や「展示・試乗会」を積極的に行うなどサポートにも余念がありません。
国内トップレベルの解体業者である「株式会社 ナベカヰ」さんが世界最大のビル解体仕様機「SK3500D」を所有されているのは有名ではないでしょうか・・
燃費の面でも一様に優秀だという評判を聞くのがこのメーカー。実際に機械をよく見ると・・他社機と比べて油圧ポンプの取付位置が違いますね。おそらく油圧回路も含めて門外不出のノウハウをため込んでいるのでしょう。
でも、中古販売店に言わせるとこのコベルコ機ってちょっと厄介。。
だって、機械を識別する"銘板"にシリアルナンバーは打ってあっても、機種名が打ってない!!
ドアに貼ってある「識別シール」を見ると"SK450"・・ボディサイドに貼ってあるステッカーは"SK480LC"・・??
どうやらベース機がSK450で解体仕様に補強するとSK480になるようですが・・
ご安心ください、メーカーでは排ガス規制のホモロゲーション取得の際には、きちんと"SK480LCD-6S"とか詳細を商品名で申請をしていらっしゃいます。
やはり、コマツ建機と並んで工業製品の王者「日立建機」もエントリーです。
解体現場を彩るオレンジ色の機体サイドには"K"の文字!
日立建機の油圧ショベルは解体仕様機に限らず商品の選択肢が豊富です。
とくに解体仕様は得意分野なのでしょう、驚くほどカスタマイズに近い仕様が選べます。
中でも「マルチブームシステム」の完成度が秀逸です。
マルチブームシステムとは、現場の作業に合わせてフロント部分のブーム・アームを取り替えることができるシステムです。
マルチブームシステム搭載機は、1台で高所解体作業(3段ハイリフトフロント)・基礎解体作業(ツーピースフロント)・通常掘削作業(標準バックホウブーム)など多様な用途で使えるため、非常に重宝されています。
接続する油圧カプラーの状態が良くて置台(専用架台)等の付属品がそろっていれば、大型になればなるほどその有効性は高まります。ヨンゴーマル(1.6m3)クラスのパワーで基礎解体作業と27m以上の高さがワンタッチで切り替え可能なのは、大変魅力的なのではないでしょうか?
他メーカーでもマルチ仕様を採用しているところはありますが、先駆者である日立建機が頭一つ抜け出ている印象です。
解体仕様の油圧ショベルでは「大割機」「小割機」「ブレーカー」といった専用のアタッチメントを利用します。
基本的には、ピンの径・アーム先端幅・配管の数や仕様で取り付けられるアタッチメントが決まります。そのため「搭載されているアームの油圧配管数」が油圧ショベルを選ぶ重要なポイントのひとつとなります。
お問い合わせが多いのは5本配管搭載のモデルです。
通常、解体仕様油圧ショベルになるとは共用(2本)配管がセットで標準取付となっていますが、共用配管の場合、アタッチメント動作は(大割機だと)開閉動作しかできません。
一方で、5本配管の場合は開閉動作に加えて旋回動作が可能になります。
解体現場では、旋回動作があると便利なため、5本配管モデルのニーズが高くなります。
共用配管仕様の「当てまわし」で回す"フリー旋回式"やオカダアイヨンやタグチ工業が出している「片側無限旋回」の"ARTS自動旋回"式よりも痒い所に手が届くし時間が早いのでしょう・・
先ほど書いたように、解体業界では重機本体に加えて「アタッチメント」を利用するため、それらにも高いニーズがあります。
解体作業では頻繁に基礎や梁などのコンクリート構造物を崩したり鉄骨・鉄筋を切ったりするため、アタッチメントは消耗が激しい部品です。
そのため、中古で出回るアタッチメント類は、なかなかハードに使い込まれたものを多く見かけます。
例えば、大割機の破砕ツメの消耗がひどく破砕効率が著しく落ちたものや、鉄筋用のカッターが台座からなくなっている状態のものなどです。
中京重機では、このようなアタッチメットを買い取った場合、各部のオーバーホールをして再び解体現場で利用できるようにしてから販売しています。
破砕ツメを支持しているピンやその他、本体機との取付用のピン穴が摩耗してガタが出てしまう場合もあります。
このような場合、当社では独自技術によってピン穴を再生する技術をもっています。このピン穴の再生技術はとても精度の高い技術なんですよ。
中古の解体仕様油圧ショベルを選ぶ際には、本体やブームはもちろん、アタッチメントやその取り付け部分もしっかりチェックしてみてください。
当社では、解体仕様の油圧ショベルをはじめ、様々な特殊仕様の油圧ショベルを取り扱っています。
お探しの機械がある方は、お気軽にお問い合わせください。
解体仕様の油圧ショベルは安全性に配慮して頑丈に作られている。
抜群の安定感で人気の「コベルコ建機」の解体仕様油圧ショベル。
マルチシステムで重宝される「日立建機」の解体仕様油圧ショベル。
大きな負荷がかかる作業のためアタッチメントは消耗が激しい。
中古車の購入にはアタッチメントや取り付け部分にも留意を。
A.S.
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