中京重機のオフィシャルブログです。
2018 02.25
こんにちは。
先日、フジテレビ系列で
ニチファミ!「空き家、つぶします。~ワケあり物件VS依頼殺到の解体名人~」
という番組が放映されました。
空き家解体に活躍している解体仕様の重機の雄姿や、それを巧みに操るオペレーターの腕に見入ってしまいました。
解体の様子をじっくりと見られる機会は多くありません。
こうした番組を通して、現場で活躍する重機やオペレーターのカッコよさが多くの人たちに伝わると嬉しいですね。
さて今回は、海外へ中古重機を輸送する方法と、ヨーロッパやアメリカなどの日本から遠く離れた地域への輸出事情についてお伝えします。
これまで、中古重機の輸出についてブログに書いてきましたが、どのようにして海外まで中古重機を運んでいるかをご存知ですか?
一般的に輸出の方法として考えられるのは、「空路(飛行機便)」と「海路(船便)」の2種類です。
その中で中古重機の輸出に利用されているのは、主に「海路(船便)」です。
「重機のような大きくて重たいものを運ぶんだから、当然じゃないか!」と思われるかもしれませんが、実は、飛行機で運ぶことも不可能ではありません。
実際に、6トン程度の貨物を輸送できる貨物飛行機もあります。しかし、コストが高くなるため、現実的ではありません。
一度の航行で大量の積荷を運ぶことのできる船便は、コストが抑えられるため中古重機の輸送に選ばれているのです。
さて、中古重機の輸送に利用されている船便にも2種類あります。
ひとつは、「ローロー船」と呼ばれており、重機をそのまま船に積み込むことができます。そのため、主に大型重機を輸出するときに利用されます。
もうひとつが「コンテナ船」です。中古重機の輸出に多く利用されています。
コンテナ船はローロー船とは違い、荷姿がコンテナに限られています。そのため、輸送する際には、重機をコンテナの中に収納しなければいけません。
そこで収納に課題が発生します。四角いコンテナに対し重機は種類によってさまざまな形状をしています。
計算上、重機の容積がコンテナの容積を下回っていたとしても、例えば油圧ショベルであれば、長いアームが引っかかってしまい、そのままではコンテナの中に納めることはできません。
では、どうするのか?というと、分解してしまうのです。
油圧ショベルであれば、アーム部分を取り外して収納します。
また、コンテナ船はコンテナ単位で輸送コストが計上されるため、1コンテナにできるだけ多くの重機を詰め込みます。そのために、パズルのように収納する角度を調整するなどしてコンテナ内に納めていきます。
できるだけコンテナ内に無駄な空間ができないようにと、隙間部分に入れる小型重機を探していて、半年が経過した…というお話を聞いたこともあります。
このように輸出をする場合は、輸送コストをできるだけ抑えるために、工夫しているのです。
ヨーロッパには、ボルボ、フィアット、ニューホランド、リープヘルなどの有名な重機メーカーがたくさんあります。
また、日本からの距離も離れているため、現在日本製の中古重機の需要はあまり高くありません。
しかし、リーマンショック以前には、日本製のミニユンボ(小型油圧ショベル)の人気がとても高かったのです。
北アイルランドには、大きなオークション会社があります。当時、そのオークション会社が大量に日本製の中古のミニユンボを購入してヨーロッパ各地のユーザーに届けていました。
当社でも、イタリアやベルギー、イギリス、オランダなどに販売した実績があります。中でも特に日本製中古ミニユンボの人気が高かった地域は、ナポリなどのイタリア南部です。
用途は主に農業利用でした。ヨーロッパからの注文で、1コンテナの中にミニユンボとトラクターを入れてほしいと言われたこともあります。
このように、リーマンショック以前には、1コンテナに大量のミニユンボや農業機械を詰めてヨーロッパまで輸送されていました。少し高額でも、品質の良い日本製の重機や農業機械を使いたいというユーザーがいたのです。
しかし、リーマンショックで状況が一転しました。
ヨーロッパ内の中古重機の価格が下がる一方、日本製中古重機の価格は変わらず高い水準でした。そのため日本製中古重機は、輸送コストも含めるとヨーロッパ内の中古重機の倍額近い金額となり、日本製中古重機の需要が減少することになったのです。
次は、アメリカやカナダ(北米)やオーストラリアといった先進国に目を向けてみましょう。ヨーロッパと同じく、有名重機メーカーもありますが、日本製の中古重機の需要が一定量あります。
東南アジアなどの新興国では、「古い重機でも安価に日本製重機を入手したい」という理由で需要がありましたが、
北米やオーストラリアでは「価格が高くても新品に準ずるような高品質の日本製重機が欲しい」という需要があります。
「高くても品質の良いものが買いたいならば、新車を購入すればいいんじゃないの?」と、思われるかもしれません。
しかし、新車の輸入は関税が高いため、かなり高額になってしまうのです。そのため、品質の良い中古重機の需要が高くなっています。
新品に準ずる品質の中古重機は、新車に比べて関税が安いため北米やオーストラリアから見ると、かなり安く良いものが手に入る、という感覚なのです。
中でも除雪仕様のホイールローダーは人気が高いです。なぜなら、除雪仕様のホイールローダーは土木用ホイールローダーに比べて使用頻度が低く、状態が良いものが多いからです。
また、土質改良機など、海外メーカーで製造していないタイプの重機の需要も高い傾向があります。
輸出事情として最後に紹介するのは、南米、中東、そしてアフリカです。
南米は、コロンビアのブエナベンチュラ、チリのイキケやサンアントニオなどがハブポート(開運の拠点港)となっています。
南米諸国には、ヨーロッパと同じく、ミニユンボを農業利用したいという需要があります。そのような理由から、当社からも過去チリに輸出をした実績があります。
しかし、為替や輸出ルールが不安定であり、輸出リスクが大きいため、本格的な輸出ルートの開拓には至っていません。
また、北米から中古重機を輸入するルートがあるため、今後大きく日本製中古重機の市場が伸びる可能性は低いのではないかと思われます。
中東諸国に人気が高い中古重機はホイールローダーです。かなり古い(ハイアワー)のホイールローダーにも需要があります。
当社でも以前エジプトやイランといった中東諸国に中古のホイールローダーを輸出した実績があります。
しかし、中東諸国は、銀行からL/C(信用状)が発行されるのが遅かったり、発行されても支払いが遅かったりすることがありました。
ときには、中古重機を販売しても代金回収できるまで1年以上かかることもあったため、リスクを考慮して近年は中東諸国への輸出を控えています。
アフリカは、ケニアのモンバサ、タンザニアのタンガ、南アフリカのダーバンなどがハブポートになっています。
輸送コストの問題や政情の不安定さなどのリスクがあるため、当社では積極的に輸出ルートを開拓するに至っていません。しかし、中古重機の需要は高く、以前モンバサ経由でウガンダに中古重機を輸出した実績があります。
ただ、地理的にヨーロッパが近いことや、文化圏が近いドバイに大きなオークションがあるため、近隣国からの輸出ルートが確立されています。そのため、日本から参入しても、安定的に輸出を行うのは難しいと思われます。
とはいえ、日本製の中古自動車はアフリカ諸国で人気が高く、シェアを拡大しています。ですので、今後、日本製中古重機の市場が成長する可能性もあるかもしれません。
3回に渡って中古重機の輸出事情をお伝えしてきました。日本製の中古重機が、世界各地で利用されていることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
世界で支持されている日本製の重機を手に入れられる私たちは、もしかしたらとても幸運なのかもしれませんね。
古くなった重機や使わなくなった重機の売却をお考えの方、または、中古重機のご購入をお考えの方は、中京重機にお気軽にお問い合わせください。
中古重機の輸送は海路で行われ、主にコンテナ船輸送される。
コンテナにできるだけ多くの重機を詰め込むことで、輸送コストを抑えている。
リーマンショック以前のヨーロッパではミニユンボの需要が高かった。
北米・オーストラリアでは、品質の良い中古重機が人気。
南米・中東・アフリカの諸国にも日本製中古重機の需要はあるが、為替や社会情勢などの事情により、安定した輸出は難しい。
A.S.
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