中京重機のオフィシャルブログです。
2024 04.11
カテゴリ: 建機、 中古建機、 建設機械、 中古重機、 リサイクル機械、 環境リサイクル機械、 個人間売買
こんにちは!
いよいよ春本番!寒の戻りで開花に水が差されましたが桜も満開の地域が増えてきました。散ってしまう前に早く花見を済ませなくてはいけませんね。
さて、今回は中古でとくに人気の木材破砕機「MC-2000」について登場から現在までの市場性についてレポートしたいと思います。ともするとすごい値段で取引されている(らしい・・)この商品は、ホントにその価値が妥当なのか?!迷うときの判断基準として参考にしていただければ幸いです。
MC-2000といえば説明も必要ないほどポピュラーとなった諸岡のタブ式木材破砕機です。しかし一言で「エムシーにせん」と言っても様々な年式や状態の商品が存在しています。その歴史は20年以上さかのぼり発売を開始したのは西暦2000年、なんと24年の歴史が紡がれているのです。しかし自動車でいうところの“ロードスター”や“MINI”のようにほとんど形を変えることなく現在に至っているところが曲者、パッと見ただけでは何年式なのか?またどんな仕様なのか?よくわかりません・・実は年式における仕様と新車当時の価格を頭に入れておかないと業者としては大きなミスをしてしまいがちな要注意な商品なのです。
まずは黎明期の初期モデルから特徴的な破砕機の仕様をご紹介しておきます。
●年式2000年~2001年頃(機番#2001~2020付近):破砕ローターのビット配列
※初期モノ20台あまりの破砕ローターはビット配列が平行です。こののちスパイラル配列(ビットを斜めにずらしていく)に変更され破砕効率も向上しています。この平行配列ローターを見たらかなり古いモデルと認識してください。
ちなみに写真の号機は#2010付近の機械ですが、よく見ると作動油のオイルクーラーがコクピット上に増設されています。これは当時の所有者が熱対策で自作したものと考えられますがMC-2000の場合特別仕様の有無と標準装備化の変遷も要チェックです。次のパートではそれらをレポートしていきます。
MC-2000の特別装備(オプション)は簡単です。以下の4種類しかありません。
1.オイルクーラー(外付けタイプ):MCシリーズ改良の歴史はパワーライン冷却の歴史と言っても過言ではありません。MC-2000の場合早い段階で(2005年ごろ?)標準装備となっているようですがこれがない機械はオーバーヒート気味の症状を疑う必要があるかもしれません。4つある冷却ファンの作動も確認しましょう。ちなみに破砕時には外側に90度開いたまま使用するのが正解なのでステーの曲がりや破損なども要注意です。
2.ロングコンベア[新車オプション80万円]:ショートコンベアは全長2,150mm程度しかありません(高さ1,500mm)、3,300mm(高さ2,600mm)のロングコンベアは破砕したチップをそのままダンプ等に積み込める人気のアイテムです。まれにちょっと短いのものとかありますので念には念を入れて実測した方が良いです。
3.磁選機[新車オプション40万円]:林業機械専門メーカーの諸岡としてはこの機械を解体廃材の破砕に使用されるのはいささか心外に感じているとは思いますが、実際に産廃の現場でもたくさん稼働しています。釘や金物の排除に必ず必要になる装備ですが新車時にコンベアエンドプーリー内蔵型が選べます。シューターとセットの設定ですがこれが取り外されていると有無を判別できないので磁性を実際に確認することがおすすめです。
4.自動逆転装置[新車オプション40万円]:破砕ローターが設定以上の負荷を検知したときにタブを5秒程度反転させて投入物の詰まりを逃がしながら破砕を続ける装置ですが基本的に必要な機能です。装備の有無は操作レバーの上にある緑色のトグルスイッチで判断しますが後付けした場合これが付きません。判別は制御ユニットがあるかないかを見た方が間違いありません。
いずれも新車購入時に選択が可能な特別装備ですが、構造的に見ると後付けも可能ですし(その際には負担する費用は変わります)カスタマイズで改造されている機械も存在します。中古機の取り扱い時にはやはり基準となるオリジナルの状態を知っておく必要があります。またスクリーンも特別なサイズが欲しくなるところですがイミテーションが多数出ていますので調達は容易ですしその気になれば町の鉄工所で十分に製作が可能です。
※上記の3と4は2018年のモデルチェンジから標準装備となっています。
あと、あるかないかで商品力に差が出るのが関連書類です。譲渡証明書(初期のころは建機工様式は出ません)はさることながら“仕様書”も重要書類です(産廃処理業として使用する際には行政へ性能と能力を申請して許可を得ることが必須)。あったら1日当たりの生産量がどうなっているか処理能力計算書をよく確認してみましょう。諸岡というメーカーはこの書類を生産したモデル個々に厳密に管理しており再発行等には応じませんので要注意です。
それでは2000年の誕生から今日までの仕様変更の流れを時系列に見ていくことにしましょう。繰り返しになりますがカタチは登場から2018年のマイナーチェンジまでほぼ変わっていませんのでほんとにマイナーな箇所の地味なレポートとなります。あくまで中古業者が市場での商品価値を判別するという基準で見ていますのでメーカーが一定の狙いのもとに行う内部構造の仕様変更等は報告できません、悪しからずご了解ください。
●Type1仮:2000年~2004年頃(機番#2001~#2100付近)[当時の新車価格は1215万円]
搭載エンジンは三菱製6D16-TEで204PS、重量は9.1t(カタログから)、誕生から3~4年の間は黎明期だけあってプロトタイプ的なモデルも存在します。特徴は平行配列の破砕ビットや樹脂製の走行レバーなどがあげられます。奇跡的に綺麗でローアワーのものも市場に存在しますがアワーメーターが壊れることが多いのを考慮すると実稼働時間を裏付ける証拠が欲しいところです。部品供給も完全ではないので流用等ノウハウがないと難しいかもしれません。
●Type2仮:2004年~2009年頃(機番#2100~#2400付近)[当時の新車価格1344万円]
搭載エンジンは三菱製6D16-TL-2で200PS、重量は9.23~9.83tにUP(カタログから)、製品として生産が安定し市場でも一番多く取り引きされているモデルだと思います。30センチはありそうな長い走行レバーが特徴的ですが、2005年頃に短いものに変わっています。同じく6Dエンジンは2次排ガス対応式なので燃料に重油を入れているユーザーも実際います。内部状態の判別がしにくいうえに部品調達の面もリスクの残るモデルとなってきました。
●Type3仮:2009年~2018年頃(機番#2400~の四桁打刻機)[当時の新車価格1530万円]
搭載エンジンは三菱製6M60-TLE3Aで197PS、重量は11.6t(カタログから)、ついに3次排ガス対応のコモンレール式エンジンに切り替わりました。クリーン性能が向上したエンジンは軽油以外を受け付けないので結果的に劇的に中古商品の品質が向上しました(煤けや腐食の少ないキレイな機械が多い)。判別は簡単、シートと操作レバーの間に制御コンピューターが収納される白いBOXが追加されモニターが液晶に変わっています。データ集積機能もよくなっているので正確なHRも把握できます。
※切削刃仕様破砕ローターの追加:2015年[発売価格250万円」
バイオマス燃料が注目されるようになったこの時期にMCシリーズにも切削刃仕様が追加されました。海外製破砕機に切削刃仕様が多かった中、破砕ローターを取り換えるだけで切削とピンチップの両方が生産が可能になるのは斬新でした。
●現行モデル:2018年~現在[新車価格2760万円(参考)※オープン価格制となりました]
搭載エンジンはCAT製C7.1で151KW(205PS)、重量は12.45t(カタログから)、エンジンサプライヤーを三菱からキャタピラー変更しただけでなく隅々まで改良が施された現行モデル。大型のキャタライザーが従来のエンジンルームに入らなかったため18年目にしてはじめて外観が大きく変わりました。ちょっと頭でっかちな印象になりましたが非常停止装置ボタンの採用など安全性と機能性も大きく進化しています。
今日に至る仕様変更の変遷いかがでしたでしょうか、MCシリーズの中でもMC-2000は2018年のモデルチェンジも含めエンジン以外に大きな構造の変更はしていません。よほど能力に余裕を持った設計なのか性能のバランスがいいのか圧倒的人気の秘密がここにも隠されているのではないでしょうか。諸岡製品に共通するシンプルで扱いやすい製品の特性がこのMC-2000の場合に最大限に活かされるんですね。まあその良さが理解されるに比例してか価格も右肩上がりに上がってきていますが、同じ(ような)カタチのまま価格が倍以上になってしまったのは中古業者泣かせでありエンドユーザーを惑わせる大きな要因だったのかな?と思います。
弊社では適正価格での中古取引ができるよう市場のリサーチと良い商品の供給に引き続き力を入れてまいります。
MC-2000は時代のニーズにのっとった息の長い人気商品
特別装備(オプション)の有無で商品価値が変わる
ほぼ形を変えずに小変更のみで性能と人気を保っている
A.S.
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