中京重機のオフィシャルブログです。
2017 07.01
カテゴリ: 重機、 建機、 建設機械、 油圧ショベル、 中古
こんにちは。
先日テレビ東京系列で放送された
を見ていたら、ロックドリルと油圧ブレーカーで巨大な岩を粉砕する、というコーナーをやっていました。
特殊用途の重機が次々と登場し、活躍する姿をテレビで見られるなんてテンションがダダ上がりでした!
次の放送が楽しみです。
さて、テレビに負けじと、私たちも特殊用途の重機・建機をどんどん掘り下げていきたいと思います。
今回は、産業廃棄物リサイクルの現場で活躍する特殊仕様油圧ショベルです。
産廃リサイクルの現場で活躍している油圧ショベルは、以前のブログで紹介した解体仕様油圧ショベルや林業仕様油圧ショベルとはまた違った特徴があるんですよ。
過去ブログ:解体現場で活躍する特殊仕様油圧ショベルの特徴や人気のメーカー
過去ブログ:多彩なアタッチメントが活躍する林業仕様の油圧ショベル
産廃リサイクルの現場で活躍する特殊仕様油圧ショベルは、業界では「マテリアルハンド機」→「マテハン機」といわれるもので、メーカーサイドでは「応用機械」と称しているタイプの油圧ショベルですね。
人気の高いメーカーとしては、コマツ建機や日立建機をはじめ、応用機械に注力している住友建機などが挙げられます。
コマツ建機や日立建機は、油圧ショベル界のオールラウンダーです。
一般的な掘削用油圧ショベルから各種特殊仕様油圧ショベルまで幅広く製造しています。
そして、その中で培った技術を活かして作られている産廃リサイクル仕様の油圧ショベルも人気があります。
住友建機は、とくに特殊な分野で強みを出せるよう応用機械戦略を展開しています。
金属リサイクル仕様の油圧ショベルにおいては、住友重機械製のパーツが多く採用されており、グループ企業の利点を活かしてして、本家本元の住友建機も高品質な重機を製造しています。
さて、そんな産廃リサイクル仕様油圧ショベルの本体には、他の特殊仕様油圧ショベルにはないスゴイ特徴が2つあります。
(1)高い視点で操作ができるキャブ
産廃スクラップの現場では、大量のリサイクル材をハンドリングして、整理や荷役を行います。
その作業を安全かつ確実に、そしてスピーディーに行えるようにするためには、オペレーターの視野を確保しなければいけません。
そこで、キャブの高さを油圧で変えられる垂直式の「エレベーターキャブ」や角度まで変えられる「リンクキャブ」最初から高い位置で固定されている「ハイキャブ」(キャブ床面基準1200mmプラス1m、2m、3m)などが設定されています。
(2)床を傷つけない足回り
産廃リサイクル仕様の油圧ショベルは、リサイクル施設内などの屋内や構内で利用されます。
そのため、床面のコンクリートを油圧ショベルの重さや移動で傷つけないようクローラーにグローサーがついていない「フラットシュー」が多く採用されています。
また、ホイール式油圧ショベルなどタイヤを利用して公道を走ることのできるタイプもあります。
金属リサイクル仕様の油圧ショベルの場合は、取り扱っているスクラップ材が「鉄」か「鉄でない(非鉄)」かで取り付けるアタッチメントが変わります。
〇非鉄用アタッチメントの場合
銅やアルミなど非鉄金属のリサイクル材の場合は、グッとつかむことができる「つかみ機」グラップルを利用します。
グラップルの形状には、フォークグラブタイプや4枚羽のオレンジグラップルタイプなどがあり、取り扱っているリサイクル材によってより効率的に作業できるものを選択します。
〇鉄用アタッチメントの場合
取り扱っているリサイクル材が磁性のある金属(=鉄のこと)の場合には、主にマグネット式(リフティングマグネット→リフマグ)を利用します。もちろん、グラップルでも作業はできますが、磁石の力で一気に金属をくっつけることができるマグネット式の方が便利で効率的です。
リフマグ仕様の油圧ショベルでは、強力な磁力を発生させるためにエンジンの力を利用した発電機を搭載しています。
構内使用の設備関連リフマグでは永久磁石が多く採用されますが、重機・建機の場合はやはり電磁石なんですね、このリフマグ、本体機0.7m3クラスをベースにした仕様だとだいたい直径1100mmから1300mmのものが多いですが、これらのマグネットで最大約600kgの吸着能力があります。
ここでは、2つのタイプのアタッチメントを紹介しましたが、そのほかにも実際には多彩な設定があります。
リフマグとグラップル、両方の特徴を兼ねそろえた「マグネット付きフォーク仕様」やスーパーロングのブーム・アームにオレンジグラップルを組み合わせた「港湾仕様」などいろいろな仕事ができる機械が各社から発売されています。
産廃リサイクルの中でも、自動車リサイクル(スクラップ解体)に特化した油圧ショベルがあります。
「自動車リサイクル仕様」または「自動車解体仕様」と呼ばれる油圧ショベルです。
自動車リサイクル仕様の油圧ショベルの特徴は、クローラーの前部(本体前部)にクワガタのアゴのような「クランプアーム」が付いていることです。
これは、解体する自動車を抑え込むためのアームです。
このアーム、上下動で抑え込む動きに加え、左右の動きもプラスして挟み込む機能のついたものがあります。
これが「ユニバーサル仕様自動車解体機」で、廃車からエンジンを取り除く事ができる仕様となります。
アタッチメントは先端がとがったグラップルのような専用形状をしていて、挟んで引きちぎるペンチャータイプと切断する力の強いグラップルカッタータイプとがあります。
ユニバーサルクランプアームで解体車を抑え込み、エンジンルームの中のエンジンをグラップルでつまんでねじりながら引き抜く、という細かな作業が可能です。
産廃リサイクル仕様の油圧ショベルは、他の一般的な油圧ショベルと比較すると、圧倒的に生産量が少なく中古重機相場のわかりにくい機種といえます。いっそ市場や相場そのものが無いともいえるのでしょう・・・。
土木現場で使用される汎用的な機械の場合、決められた工期が終了して使用しなくなったら重機をすぐに売却するというケースがよくあります。
しかし、リサイクル仕様の油圧ショベルは、リサイクル施設の中で、常設の設備と同等に扱われているため、頻繁に売却されることがありません。
しかも朝から夕方までの定時でフル稼働していることが多いので、稼働時間が5~6年で10,000時間を超えているものもあります。
生産台数も少なく、不定期な発生・出品機会も少なく、出てきた物件は決まってハイアワー。
なかなか難しい機械ですね。
やはり、10,000時間以上の機械は海外へ輸出となりますが、専門性の強い海外バイヤーとのパイプがないといい値段がつけられません。
また、10,000時間未満の国内向けの機械であっても、在庫リスクを考えると、よほど再販ルートを確立している業者でないと、よい値段がつけられないのではないでしょうか。
ところが、欲しい時に見つけようとすると、なかなか無いのが、このマテハン機!また高いんですよね。
ベース機種相場のプラス200万から300万はしていますよね・・・。
産廃リサイクル仕様の油圧ショベルに関しては、あまり稼働時間だけにとらわれず、実際の動作や重機の状態をしっかりと確認することをおすすめします。
規則正しく使われてきた機械は、その摩耗や劣化についても法則性があり、今後のメンテナンス予測が立てやすい特性があります。また、エンジンを冷やさないというのは、そのロングライフ化に寄与するところが多いのでしょう。
まあ、弊社の場合はよーく点検・動作確認してから整備やときには塗装等して商品化することが多いですね。
まずは、お探しの産廃リサイクル仕様の油圧ショベルはあるか、お気軽にお問い合わせください。
リサイクル仕様油圧ショベルの特徴には、視界を確保するエレベーターキャブやハイキャブ、床を傷つけないフラットシューがある。
リサイクル材が「非鉄」ならグラップル、「金属」ならマグネット式のアタッチメント。
ペンチのようなグラップルやクワガタのようなクランプアームが付いた自動車解体をするための油圧ショベル。
リサイクル仕様油圧ショベルは長時間稼働していることが多い。
中古のリサイクル仕様油圧ショベルを選ぶときは、稼働時間だけでなく、重機の状態をしっかりと見極めよう。
A.S.
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